ベストフィットの発見


Geoform、PolyWorks|Inspector™のベストフィット位置合わせ機能の利用により、パーツを廃棄から救う。
 

Geoform, Inc. (アメリカ カリフォルニア州イングルウッド) はPrecision Measurement Laboratoriesとしても知られ、1986年以来計測サービスを提供しています。同社は成長に伴い、CAD/CAM、工具および固定具の製造、短期製造の分野にも事業を拡大してきましたが、依然、コアビジネスは寸法検査であり、特に航空宇宙、自動車、医療用などの複雑なパーツに力を入れています。

課題

長年にわたり、Geoformはツール、技術、品質管理面でのアプローチが進化していくのを目の当たりにしてきましたが、特に近年の進歩により、どのツールがどの仕事に最適であるかをしっかり考えることの重要性がこれまでになく高まっています。Geoformの社長であるSteve Farentinos氏は、こういった課題、および最適なツールを選択する重要性の例として、Weber Metals Inc.との仕事を挙げました。

総合的アルミ/チタン鍛造サプライヤのWeber Metalsは、近年増加傾向にある、寸法入り図面なしで製品をドキュメント化するモデルベース定義 (MBD) を採用している企業の1社です。Farentinos氏は、「CADデータ、プロファイル許容値の検査指示と、2、3の主要寸法のみでパーツ検査を行うように依頼されるケースがかなりあります。印刷物を見ながら検査するというやり方はもはや標準ではなくなりました」と述べています。このアプローチは、多数のフィーチャーを含んだ複雑なパーツの場合には特に大きなコストの節約につながります。「寸法入り製品図面を作成する時間を省略できる上、検査工程からたくさんの作業を排除できます」

解決策

Weber Metalsのパーツのプロファイル検査にあたり、GeoformはFaroレーザースキャンシステムとPolyWorks®ソフトウェアソリューションを選択しました。最初から最後まで、つまりスキャンからレポート生成まで、検査のいくつかは1日以内で済みました。「これはまったく大きな違いですよ。比較的複雑なパーツの検査を2、3時間で完了できてしまうのですから。古い方法だと、同じパーツに3、4日かかるでしょう」と、Farentinos氏は述べています。


プロジェクトを受注したら、その仕事に最適なツールを使用します。
 

ただし、実はこの後すぐにFarentinos氏は「古い」という言葉は適切ではないので「確立した」という言葉に言い換えています。Geoformはこうした「確立した」方法にも引き続き依存しているためです。Faro Portable CMM (PCMM) を広く使用していますが、「プロジェクトを受注したら、その仕事に最適なツールを使用します」と、同氏は述べています。これらのツールには2つのFaroアーム、3つの固定式CMM、InnovMetricのPolyWorks|Inspector™ソフトウェアソリューションが含まれています。

Farentinos氏によると、CMMは高ボリュームで、高精度が求められ、長期間稼働する仕事に向いています。Faroアームは、1回限りのプロジェクトや設計評価および工程認証のためのファーストルックパーツなどに優れています。また、複雑な鋳造、鍛造、成型済み金属やプラスチックパーツのプロファイル許容度を検査する際の輪郭のキャプチャーにも最適です。このような仕事の場合、Geoformでは、同一の測定セッションでレーザースキャナとタッチプローブの両方を使用します。「それ以外には、一部のプリズマティックフィーチャーのハードプローブやスキャンを行います。ハードプローブは仮の座標系用にいくつかの設定フィーチャーを簡単に測定する必要がある場合に便利です」と同氏は述べます。

据え置き型3次元測定機で得られたタービン測定データのベストフィットと検査結果

仕事はCMM上で行っても、より良質なベストフィットを求める場合やレポート生成オプションが必要な場合は、輪郭が取られたパーツの座標をPolyWorks|Inspector™にインポートすることもよくあります。

ソフトウェアに関しても選択は明快です。Geoformでは、CMMプログラミングが必要とされたり、従来の表形式の検査レポートが適切であると考えられるような長期プロジェクトには、従来のCMMソフトウェアを使用します。CMMの他の仕事や、全てのPCMMの仕事の場合は、PolyWorksを採用しています。Farentinos氏は、「Faroアームを使用したら、当然PolyWorks|Inspector™を使用します」と言い、「仕事はCMMで行っても、より良質なベストフィットを求める場合やレポート生成オプションが必要な場合は、輪郭が取られたパーツの座標をPolyWorks|Inspector™にインポートすることもよくあります」と続けています。さらに、Geoformではプラグインを使用し、手動CMMやI++サーバー上で稼働するCMMでもPolyWorks|Inspector™で測定セッションを実行しています。

メリット

ベストフィット位置合わせ

従来の検査法では、わずかな数のターゲットポイントを使用して全ての測定の座標系が定義され、データセットがロックダウンされます。つまり、いくつかの測定が後続の結果全てに影響することになります。パーツをもっと詳細に検査したい場合は、座標系を確立されたターゲットポイントからドリフトさせることで、その座標系の影響を調査すると有益なことがあります。これはベストフィット測定データセットの多様なアプリケーションの1つです。


内部の動力伝達路の検査結果 (外側面はワイヤーフレームとして表示)

Farentinos氏は、「ベストフィットが関係する場合は、常に測定結果をPolyWorks|Inspector™で処理するようにしています。これはこのソフトウェアの最大の強みです」と強調しています。

また、Farentinos氏は「たとえば粗鋳造物を検査する際、データムターゲットのセットアップ時に一部のフィーチャーが許容範囲外であると分かることがあります。でも、お客様は、もしデータムターゲットから外れたらそのパーツに十分な切削代があるかどうか知りたいとします」と話し、次のように続けます。「パーツを廃棄から救うには、単に1つまたは複数のデータムターゲットから少量の材料を取り除くだけでいいのかもしれません。このような場合、PolyWorks|Inspector™のベストフィット機能を使用すればこうした質問に答えることができます」

測定データセットには数千、数百万ものポイントが含まれることがありますが、MBDで作成されたCADデータに位置合わせすることでこれら2つの「ベストフィット」を生成できます。位置合わせターゲットは、CADモデル全体に分散していたり、あるいは鋳造データムなど、一部のフィーチャーでゼロ調整されていたりする可能性があります。「これは、ドラフトサーフェス上にデータムターゲットを持つことの多い鋳造や鍛造の場合や、データムにサーフェスの不整が見られる場合に有益です。このソフトウェアでは、多数のポイントを使用してその差異の平均が識別されます。これにより、最適なフィットが得られ、測定の精度が向上します」とFarentinos氏は語っています。

Geoformが使用しているもう1つの位置合わせ法は「許容値範囲内にベストフィット」です。同社は2008年に、許容範囲外のフィーチャー数を最小限にするため、このPolyWorks|Inspector™ツールをリクエストし、その開発を支援しました。この方法は、ベストフィットの利点と合わせ、排除対象のパーツから許容パーツを作成するスキャンデータセットの位置を検出するのに役立ちます。Farentinos氏は、「許容値範囲内にベストフィットオプションを選択するだけで、後はソフトウェアがリファレンスフィーチャーの許容範囲を読み取り、これらの範囲内で測定を再位置決めします。基準フィーチャーからデジタイズポイントまでの距離を最小化する代わりに、ポイントセットを許容範囲内に設定しようと試みます」と説明しています。


1200ボンドに近い重量の鋳造品のレーザースキャンデータ誤差カラーマップ結果

レポート生成

CMMとPCMMのいずれで測定するかに関わらず、Geoformでは、表形式のデータ以上のレポート生成が必要な場合、PolyWorks|Inspector™を選択します。Farentinos氏は「PolyWorksを使用することで、もっと自由かつパワフルなレポート生成が可能になります」と述べています。ページが延々と続く表形式のレポートの代わりに、PolyWorks|Inspector™は直観的なビジュアルレポートを生成するための多彩なオプションと方法を提供します。


PolyWorksでは検査結果が見やすく表示され、とても分かりやすいです。このソフトウェアの最大の強みの1つは、特にカラーマップ、表、ヘッダーおよびフッター付きの複数ページのレポートなど、レポート生成が簡単に行える点です。
 

PolyWorks|Inspector™では、AS9102などの標準レポートフォーマットにグラフィックドキュメントを追加して質を向上させることができます。「PolyWorksでは検査結果が見やすく表示され、とても分かりやすいです。このソフトウェアの最大の強みの1つは、特にカラーマップ、表、ヘッダーおよびフッター付きの複数ページのレポートなど、レポート生成が簡単に行える点です」とFarentinos氏は述べています。「MBDタイプの航空宇宙レポートの場合、AS9102レポートを完成し、PolyWorksで生成されたグラフィカルなカラーマップを参照物として付けます。標準の検査レポート以外にも何か見てもらえるものを顧客に提供できるようになりました」

Farentinos氏は、「操作はまさにドラッグドロップするだけです。レポートを1、2分で作成できます」と言い、その例として、「今朝、11ページのレポートの作業をしたのですが、測定点群から始め、1時間半後にはレポートを完成できました。それほど簡単なのです」と教えてくれました。 

続けて、Farentinos氏は多くの輪郭を持つ複雑なタービンの場合の検査作業についても説明し、この場合でもPolyWorks|Inspector™によってこのプロジェクトがいかに簡単になったかを強調しました。「この種のプロジェクトでは、PolyWorksのマクロ言語を使用して一部の共通コマンドを自動化します。これはレポート生成に最適です。たとえば、標準の検査レポート用の付属ドキュメントとして提供するためにレーザースキャンのサブセットからXYZデータ表をエクスポートする処理を1つのマクロで行っています」ロー検査データから完全なレポートを90分で作成できるなど、多くの面でPolyWorksはGeoformの計測プロジェクトにまさに「ベストフィット」しています。


Faroアームによる自動車部品の輪郭検査